障害児保育ヘレン視察、入札制度改革説明
龍円さんから声をかけてもらい、森澤さんと計3名で本日は朝から世田谷区経堂の障害児保育園ヘレンに視察に伺いました。また、その運営母体であるNPO法人フローレンスの駒崎さんに障害児保育についての経緯と現状と課題を説明していただきました。駒崎さん、直後に行政の方で打ち合わせがあるということでしたが、朝の時間に非常に端的かつ分かりやすい説明をお聞かせくださり、本当にありがとうございました。
お伝えしたい点はいくつもあるのですが、まず大きくは「障害児の保育」というもの自体がいくつもの前例の壁にぶち当たる比較的新しい(とは言ってもここ数年の必要性は顕著だと思われますが)ニーズであること。元々の前提として、障害児は保育ではなく療育を受ける者として主に保育課ではなく福祉課の担当する療育施設で発達支援を受けることがスタンダードとされています。ヘレンも、開所時に「障害児保育園とはなんなのか、何をするところか」という議論で保育課と福祉課両方の職員の方々との何回にもわたるやりとりがあったということです。苦肉の策として、ヘレンは居宅訪問型の送迎サービスも並行して提供し、その合間にやや長めの実質的には保育と呼べるくらいの時間にわたって発達支援療育を行う施設、という位置付けとなっているということです。この施設を開設して機能させるために、そのような制度的工夫をするに至った関係各位の努力を思うと、本当に頭が下がります。
障害児と一言で言っても、いくつかの障害を重ねて持っている重複児から、知的障害、発達障害児まで、その程度や障害の種類も様々です。その中に、ここ20年ほどで急激にその数が増えている医療ケア児という存在があります。新生児医療の発達と進歩の助けにより、出産前後に昔であれば命を落としていたかもしれないお子さんがその危機を乗り越えて成長していけることとなり、医療デバイスを使用し気管切開や経管栄養を施されることで大きく逞しく育っていくことができるようになりました。医療ケア児の数は平成17年に9403人だったのが平成27年には17000人と倍近くまで増えています。
ですが、医療ケア児の通える保育園はほとんどありません。週に一度や二度の療育に通うことしかできない地域が多いということです(ヘレンのような施設は珍しいです)。
また、小一の壁もあります。特別支援学校に入学した場合でも、送迎バスに乗る際にはバスに看護師が同乗できない制度であるため親御さんが同乗する必要があります。さらに、授業中は、これまた都の教育庁のガイドラインによって、制度上特別支援学校に常駐されている看護師さんは医療ケア児のデバイスについての管理はできないということになっているため、やはり親御さんがつきっきりでお子さんのそばを離れることはできません。(注・もちろん親御さんは看護師さんや医療従事の専門家ではなくとも、医療ケアの管理者としてお子さんのそばにいることになります。つまり、このガイドラインは能力ではなく立場や関係性から人の配置基準に言及しているということになります。)
医療ケア児にも、日常的にお友達と一緒に遊ぶ場所があったらいいと私は思います。また、医療ケア児のお母さん(特別支援学校などで毎日付き添いをされているのはほぼお母さんだということをよく聞きます)にも、介護者の休息(レスパイトケア)が必要だと考えます。レスパイトもさることながら、そもそも仕事をせねば暮らしていけない、仕事を続けたい、そのような親御さんの希望に応える受け皿を用意していくためにも、1つずつでも動いていくこと、問うていくことが今更ながら必要であると痛感することとなりました。
新宿に戻り、入札制度改革についての都からの説明や質疑が行われました。取り仕切ってくださった石川さん、都の職員の皆様、ありがとうございました。そもそもこの制度改革が適用されるのは水道・都市整備・病院などを含まない知事部局の管轄の事業で、さらにその額の大きさにも制限があるということから中小企業に対する保護や支援の体制は整っているということです。都議数名から質問も出ておりましたが、現状は大きな混乱もなくスタートしているというこの新しく始まったばかりの入札制度の経過観察を、引き続き進捗の報告もいただく形で進めていきたいと考えています。
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