昨日は今年度子ども大学たまの第3回授業が開催されました。
講師は東京大学名誉教授の牧島一夫氏。宇宙物理学者の牧島先生ですが、大学から大学院へ進むときに同じく東大名誉教授で宇宙物理学者の小田稔氏に師事され、この道へと進まれたということです。
理化学研究所宇宙放射線研究室招聘主任研究員であり、
同宇宙観測実験連携研究グループ グループディレクターを併任されます。
「ぎんが」「あすか」「すざく」などのX線天文衛星をもちいて中性子星X線パルサーなどを観測され、「X線観測による中性子星の強磁場の研究」で学士院賞を受賞されている牧島先生。
小さな時はどんな子どもだった?というくだりで、
「何でもかんでも分解する子どもだった。なんでもバラバラにして調べていた」とお話しくださりとても子どもたちの表情が和みました。参加している子どもたちも、いろいろな実験をすでに日々繰り返しているのかもしれません!
一体どんな授業が繰り広げられるのだろうと、ノートを開いて熱心にメモを取りながら画面に集中する子どもたちに、牧島先生は宇宙の大きさ比較をまず数値で表してくださり、宇宙に端っこはあるか?世界の端っこの認識は歴史的にどのように捉えられてきたか?などの興味深いテーマからお話を始められ、
そこから「タイムマシンはあるか?」という問い。
宇宙と時間の関係や、
今見ている星や銀河と私たちの時間軸について、科学者らしく客観的事実を正確に語ります。
宇宙の始まりや、ビッグバンの話に差し掛かり始めた時に、
「暗黒空間」「暗黒エネルギー」という専門用語が現れ始め、事務局スタッフの大人たちも含めて「?!後で質問しなければ」という緊張感が漂い始めました。
今回の授業は前半後半をさらにそれぞれ2部に分けるような形で、細かく質疑の時間を設けてくださいましたが、一回めの質疑の時間が予定を大幅にオーバーするくらいの子どもたちから牧島先生への質問攻め。
その様子を見ていて、宇宙や天体に対して子どもたちがどれほど興味関心、また親しみを持っているかが伝わってきました。
また、後で学長の榊原先生もお話しくださったことですが、
「大人よりも、子どもの方が柔軟に知識や授業を受け取れる。大人は歳を重ねるごとに生活や身近なことにとらわれ始め、頭が硬くなってしまう。子どもたちはそれがない。」
ということが如実に現れていた質問タイムであると感じました。
こんなことを聞いたら恥ずかしいかな、
もうみんな知っていることなのかな、とは考えなくてもいいのです。
もうみんなが知っていることでも、もしかしたらそれが正解であるとは限りませんし、
違う事実もあるのかもしれないのです。
後半ではご自身の研究に深く関わってきた日本のロケット開発の詳細が語られます。
実際のロケット打ち上げの際の動画なども見ながらの講義に、子どもたちも食い入るようにして注目している様子でした。
国際宇宙ステーションの仕組みを集合住宅に例えてご説明くださっていたのはとてもわかりやすくて驚きました!
そして話はブラックホール、アインシュタインの相対性理論や質量の話へ。
先生の資料に時々「さっきの資料をもう一度見せてください」と発言する生徒さんも現れ、白熱したまま授業は進んでいきます。
ブラックホールはどのようにしてできるのか、というお話の際に
「ガンマ線バースト」という言葉が出てきて思わず私もメモを取りましたが、
牧島先生は、相手が小学生だからと伝える内容をあまり限定されていないのだということをこの時に確信した次第です。
授業の終わりに、子供達へのメッセージとして
「どんどん疑問を持ちましょう。
なんでも、大人の言うことだとしても、頭から信じなくていいんです。」
と言うお言葉があり、自分自身も再び大事な教えをいただいた瞬間でありました。
また、子どもたちや参加しているスタッフからも感嘆の声が上がったのが
「あるということの証拠は見つけられるが、
ないということの証明はできない」という牧島先生の言葉です。
ブラックホールやホワイトホール、タイムマシンの話に興味津々の子供たちからすると、もしかしたら今は「ない」とされているものも、将来「ある」という証拠が見つけられるかもしれない、と感じられる希望の言葉だったかもしれません。
非常に中身の濃い授業でしたが、これにしっかり食いついてきた子どもたちの姿に何よりも私たちスタッフ全員、勇気をもらえた1日でした。
子ども大学たまは近々、来年度の講義内容を決めた上で、来年度の生徒さんの募集も行っていく予定です。
ぜひ、こんなふうに「大学の講義」を受けてみたい!と言うお子さんたちのご参加を、スタッフ一同お待ちしております。
来年2月13日には谷川賢作さんと歌う!子ども大学たまの校歌をはじめ、音楽や音を使って遊ぶ授業も準備中です。
そちらもまた準備が整いましたら詳細を伝えさせていただきます。