多摩市立青陵中学校の挑戦

千葉校長の元で、生徒さんたちの「主体的に考え、対話的に学びを深める」姿勢や能力を伸ばそうと授業の工夫をされています。授業も見せていただける!ということで、都議会の来週始まる文教委員会の準備中ですが、ひと段落したところで視察に伺いました。

市内各校の教員の皆さんが来られていました。皆さん、さすが、生徒さんのために勉強熱心です。

戦後に始まった公立教育と今の時代の公立教育の目指すところは違います、という東京女子体育大学の田中先生のお話はとてもためになりました。

曰く、戦後の義務教育は「義務教育完結型」であった。中学を出てからすぐに働く、就労する生徒さんも多数という状況だったのが、今では高校進学をし、また高校から先に大学・専門学校などへ進学するという長寿社会・高学歴社会へと転換をしてきている。

その中で、義務教育は「義務教育リスタート型」と田中先生はおっしゃっていました。つまり、義務教育の中でどれだけ知識や学力をつけられるか、ではなく、今後に生かすためのどんな可能性を持って卒業できるか、という方に重点が置かれてきているし、それを重視すべきであるという考えを表します。


今後10年間でおよそ47%の仕事が自動化される可能性が高いと言われ、子供達の65%は大学卒業後に今は存在していない職業に就くとも予測されています。子供達に限らず、義務教育の時間で勉強をし終えて社会に出る、というのではなく、教育や学びが生涯続く、いくつになっても自ら学び、自ら考えて解決して行く姿勢や、他人と違う考え方や違う価値観を持っていたとしても協調する力を身につけることが、次なる新学習指導要領が実施される10年間に求められている教育の形ではないか、という趣旨のお話でした。


その教育の柱として、学力の三要素と言われているのが①基礎的な知識・技能 ②思考力・判断力・表現力 ③学習意欲

であり、この青陵中学校で行なっている授業は生徒さんたちがより主体的に取り組めるよう、課題設定を多様な答えが出てくるものを想定して設け、授業の中で少人数のディスカッションと全体のクラスの前でのプレゼンテーションなどの時間を設けます。


結果、生徒さんたちがその課題に対する関心が高まり、それに対して自分の意見を持ち、またさらに学びたいという意欲向上につながる、という③の学習意欲の増進に非常に効果がありそうでした。


実際授業も見させていただきましたが、先生方が2年間かけて工夫されて練り上げられたであろう様々な課題設定が面白く、自分もこの中学に通いたいと思ってしまうほどでした。

国語では、本文の描写について語り手を変えて書き改める、リライトをして互いに発表します。

美術では、ゲルニカの絵の部分を取り出して模写し、その表現を鑑賞しあいます。

体育では自分たちの動きを動画で撮影し、見本と見比べながら改善点を話し合います。

家庭科では消費者トラブルの事例から、食品にどんな表示が優先してなされているべきかを考え話し合います。

どの授業も面白く、寝ている生徒や参加していないように見える生徒さんもいませんでした。

ただ、もしかしたら少し時間が足りない?自分も感じることですが、少人数のディスカッションには3、4人だとしても数分間ではなかなか足りません。多様な考えや背景があるほど、そこに時間をかけるためには、授業準備を生徒さんたちにも自主的にやってきてもらうホームワークスタイルの予習が必要になってしまうのかも?ということも感じました。

後、評価基準や方法をどうするか?多様な表現や意見に、どう評価や点数をつけて行くのか。先生方も様々な思いがありそうです。


けれど、総じて、この取り組みはできれば小学生のうちから行うことができれば、子供達が「勉強=難しい、わからない、言われてやること、嫌なもの」と思ってしまうような事態が少なくなって行くのではないかと思いました。


千葉校長を始め、教員の皆様のご努力ご尽力に敬服しました。

素晴らしい研究の成果を見せていただいて、ありがとうございました。


斉藤れいな(さいとうれいな)公式サイト

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