初めての一般質問に立ちました

都議会本会議にて、初めての一般質問を行いました。


質疑内容について、また答弁について、ご説明していけたらと思いますが、今回のブログではまず児童虐待防止についてご説明いたします。

https://www.youtube.com/watch?v=esSnA5AUYbc


今回最も時間を割いて質問したのは児童虐待防止についてです。

主に社会的養護の体制についてを3問と、未受診妊婦の支援について1問で、計4問質問いたしました。


社会的養護の体制とは、つまり一時保護所等を含む現在の児童相談所のあり方について、体制強化や情報共有範囲の議論にとどまることなく、そもそもの業務超過・現場判断の専門性不足・人材育成の体制などについて課題意識を伝えさせていただき、「児相改革を求める」ということで、3点質問をさせていただきました。


児童相談所は、東京都には現在都設置の11箇所があります。

東京都民の数、また右肩上がりに増え続ける相談対応件数に対して、あまりに少ない設置数です。

平成28年児童福祉法の改正により、児童相談所が特別区によっても設置できることとなり、現在先行三区と言われる江戸川・世田谷・荒川でその設置の準備検討が進められています。先行三区はすでに計画策定中で、その計画の中には具体的に児相を設置する場所や用地の確保の見通し、そこに配置される人材の育成のための研修体系や情報共有に向けたシステム構築の検討などがなされています。また、先行三区以外でも葛飾区などで準備検討や東京都児相への職員派遣が行われています。

こういった特別区の動きに対して、あくまで「区が設置する」という区分ではあるものの、これまで児相業務や児相事務を一手に担ってきた東京都としてもぜひ、人材育成や情報共有、ノウハウの提供という観点からも支援を行なっていくべきではないか、という質問を1問目にさせていただきました。

今、東京都の児相の職員が抱えている案件は、一人につき58件とも言われています。あまりに多い数で、一つ一つの案件に労力や時間を割くことができない実態があることが伺われます。

本来であれば、一週間に一度は様子見に伺い、居宅訪問を行うことが望ましいとされている場合でも、これだけの案件を抱えている職員にそれが叶うわけもありません。


各特別区それぞれの事情や地域性もあり、取り組みのスピード感に差はありますが、予てからの23区長会の要望でも出ているように地域の中での児相の設置に向けて、急ピッチで土地の選定から児相新設、職員の人材育成までの準備が進められています。

それに対し、「法律が認めたものであるから、特別区で独自にやるのが良い」と突き放すのではなく、これまでに東京都児相が培って来たノウハウや情報を共有すること、また人材支援に向けて取り組むことは社会的養護を一手に引き受け担って来た部門であるからこその責務であると考えます。

この点について、東京都からは「人材の育成支援として区の職員の受け入れを前年は35名、今年度は66名行う。今後も都として支援を行なっていく」という答弁をいただくことができました。

つまり、東京都にとって、区の設置する児相の業務は「ひとごと」ではありません。しっかりとそれに向けて準備や協力、また課題の検討等も行なっていただくことが想定される答弁をいただいたのです。


この、特別区における児童相談所の設置に対する都としての支援については、一般質問を迎えるまでに、世田谷の福島都議、葛飾の米川都議にはたくさんの地元要望や事情も伺い、大変お世話になりました。江戸川の田の上都議にも地元のご意見を伺っていただきました。


さらに、2問目は常勤弁護士の必要性について問わせていただきました。

こちらは、正直東京都では月に二日の非常勤弁護士に加え、いつでも電話等で相談できる「協力弁護士」がいる、ということで基本的に大変後ろ向きな答弁がもともと想定されておりました。

が、


前日の夜になって、やや答弁に変化が見られました。

現在の取り組みに加え、「今後は体制をさらに充実し、児童相談所の法的対応力の強化を図っていく」という答弁を頂くことができたのです。

これは、今後のさらなる専門人材配置の拡充の可能性も大いにありえる答弁をいただけたと思います。


3問目では、子どもの権利について代弁するアドボケイターの導入について触れさせていただきました。

こちらは、厚生部会の龍円さんが兼ねてから要望していることでもあり、今回質問を作る上で龍円さんや部会長の桐山さん、また厚生労働省の「社会的養育のあり方検討委員会」の座長である奥山氏の資料などを参照させていただきました。


東京都では一時保護所について、この第三者の審査が入る新しい事業がスタートしますが、それに加えて「児童相談所にアドボケイター導入」とはさらにまた一歩踏み込んだ質問であり、最初からこれについては検討するなどの良いお答えはもらうことができない、と、それでも聞かせていただくことに意義がある、と踏み込んだ質問でありました。


答弁では、

アドボケイトについては国が現在調査研究を行なっているが、具体的な仕組みについては今後検討していくとしており、都としてはその動向を注視していく

というお答えを頂きました。

これについても、将来的に大いなる可能性を秘めた答弁であると、大変嬉しく受け止めているところです。


私からはさらに、4問目に児童虐待の虐待死の5割が0歳児であり、そのうち6割が生まれたその日に命を落とすということ、また加害者が実母であることが多いことから、未受診妊婦や望まない妊娠に直面している妊婦に対する支援について、都としてどのような取り組みを行っていくか伺わせて頂きました。


未受診妊婦はそもそもまず相談体制や医療や福祉につなげることが課題であり、それを躊躇する理由をしっかりと検証することが必要であると今日までに幾度となく担当課にお伝えさせて頂きました。

日本では、「望んだ妊娠、母子手帳交付、子育て支援」という流れが一般的です。

ここに、望まない妊娠や若年層の予期せぬ妊娠はなかなか入ることができないのが現状です。

現在、産科受診の助成制度も、妊娠判定を持って母子手帳交付を受けてから初めて受けることができます。

もともと、「産めない」「産まない」方に対する支援は想定されていないのです。


命というのは、一体いつから命と認定されるのでしょうか。

この件について取り組むようになってから、悩みは尽きません。東京でも早く、特別養子縁組の愛知方式が確立し、0歳児からの養子縁組のあり方が確立され、望まない妊娠を迎えることとなった妊婦の方々も、お子さんを産むことができる社会になることを祈ってやみません。

公明党の野上都議の質疑でも、都立高校で予期せぬ妊娠を迎えた女子生徒に対する通学や卒業に向けたに支援について、触れられておりました。これまでなかなか踏み込まれることがなかったところへの議論であり、大変革新的な一歩です。


4問目の答弁では、

医療機関を受診していない妊婦は、早産や、自宅や搬送中での分娩などのリスクの高さが指摘されている。

と、現状課題の認識共有から、していただくことができました。これはなかなか、実はハードルが高いことだと思っています。

前日の深夜に、福祉保健局長自ら、答弁に手を入れてくださったということです。

様々な責任を抱えながら、それでも現状課題に向き合うと、足を一歩踏み出してくださったことを評価致します。


児童虐待防止については、決してこの瞬間風速を持ってして現在のみ、話題にすればいいということではありません。

時間がかかり、牛歩だとしても少しずつでも前進し、改善するように取り組んでいけるよう、今回の質疑の内容は会派内でもしっかりと共有し、今後の議論につなげていければと思います。


本日質疑に入れることはできませんでしたが、児相内の相談と虐待対応の機能分化や、ICT活用についても、いくつも児相改革につながる施策は実行可能です。

昨日、音喜多都議の質疑に対し、ICT活用を検討していくとの答弁があったことは非常に大きなことだと思いました。

今朝になってこのような記事が上がっていました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180621-00000019-jij-pol

厚労省が、児相間の情報伝達を確実にするため、FAXではなくメールでやり取りをするということで全国児童相談所長会と調整しているようです。これもまた、重要な児相改革の一つです。


その他の質問に関しては、また改めて説明させていただきます。

見にきてくださった方、またインターネット等を通じて見てくださった方も、ありがとうございました。


さらに、研鑽を重ね、精進して参りたいと思います。

また、課題や質問分野を振り分け、調整を重ね、共に情報共有しながら一般質問の日を迎えた都民ファーストの会 東京都議団の仲間たちのそれぞれの力強い質疑にも大変刺激を受けました。


本日からは、委員会質疑の準備や委員会が始まります。

明日は文教委員会です。

今週月曜の大阪で起きた地震に伴い、まずは被害を受けた方々に心からお悔やみを申し上げます。被害がこれ以上大きくならないことを祈るばかりですが、現時点で既に多くの被害が出ております。公共施設のみならず、人が通行する道路沿いや通学路におけるブロック塀等の倒壊はしっかりと検証を行っていくことが必要で、これについても急遽国からブロック塀等の安全点検について通知が出ました。

東京都では、急遽各区市町村の教育委員会が動き、ブロック塀等の安全点検を行い、6月29日にはその調査の取りまとめが終わるとされています。

しっかり取り組んでいただけますよう、こちらも注視して参りたいと思います。


斉藤れいな(さいとうれいな)公式サイト

前東京都議会議員 斉藤れいなの公式ホームページです。