里親支援のフォスタリング業務を検討へ
これは主に会派の森澤都議が実際の里親にも話を伺い進めてきたことです。
親元で暮らすことのできないお子さんをお預かりする里親制度についてですが、里親をする方の中には初めて子育てをするというケースもあり、またお子さんの中にはこれまで生まれ育つ中で様々な背景があることから、里親委託は里親子に対するきめ細かい伴走型の支援が必要です。
都はこれまでも、「チーム養育」体制として児童相談所が中心となって民間団体や児童養護施設とも連携しながら支援をしてきていますが、委託後の家庭訪問の中でも明るみに出にくいのは「里親が養育にあたり困難な点や課題等を自覚していないケース」です。例えば、しつけと体罰の区別もはっきりとしない中、厳しい指導を行ってしまっていても、里親子の方に「これは問題だ」とチーム養育に相談することがなければ見過ごされてたまま時間が過ぎていってしまいます。
私も昨年、森澤都議とは違う形ですが実際の里親が登壇する勉強会に伺い話を聞いてきました。
里親にとっては里子の実親との関係や距離感の取り方、しつけの違いや食べ物・おもちゃに関する考え方の違いなど、本当に相談が必要な事柄は山ほどあるということがわかりました。また、お子さんにとっても、実親の元での生活習慣等と明らかに違いがあることに戸惑ってはいないか、必要以上に苦しんでいることはないか、長期にわたりともに歩みながらコーチングを行ってくれる存在が必要です。
このコーチングを含め、里親支援を一貫して行うフォスタリング機関の設置の必要性は有識者等からも幾度となく指摘されています。
虐待や貧困などで保護された子どもをより良い環境で育てようと、関係者や団体が参加する「全国家庭養護推進ネットワーク」が今年2月に設立されました。
都からは、同じく2月から始まった児童福祉審議会の専門部会において、社会的養育推進計画の策定に向けた議論が開始されており、その中で今後フォスタリング業務の実施体制についても検討していくという答弁がありました。非常に重要な答弁です。来年度策定する社会的養育推進計画に、どのようなフォスタリング機関のあり方が加わっていくのか今後も要注目です。
また、東京都が昨年秋から開始した特別養子縁組の新生児委託推進事業についても質問しました。これは特別養子縁組を望む里親家庭と0歳児の新生児を早期にマッチングするという事業で、里親登録をした家庭に対しては乳児院で養育に関する研修を継続して実施し、できるだけ里子となる新生児との交流も早期に始められるよう支援するなど都として準備を非常に丁寧に進めていることがわかります。また、有名な愛知方式と言われる出産前からのマッチングについては現状は都では行っておりませんが、これは実親が出産後に気持ちが変化するなどの愛知での実例も踏まえて、都として里親と実親どちらにも配慮をしての事業構築をしたということです。
結果として、現在都内で20家庭が新生児委託の研修を受講し、7名の乳児を委託しているということが答弁で明らかになりました。大変慎重かつ丁寧に進めていただいていることは何よりですが、現状は里親となるご家庭が、「いつお子さんとのマッチングが行われてもいい状態で常に待機」していることが前提となっていることもあり、それだけの覚悟を求めるというところは評価するものの、里親家庭への負担は今後解消していくべき課題の一つではないかと思います。
都として今後も周知や啓発・研修含め、ぜひ頑張っていただきたい事業です。
0コメント