虐待防止条例制定にあたり、保育所内虐待防止について質疑。都と区の児相広域調整では共有システム構築を。施設へ措置される児童数のニーズは新たな社会的養育推進計画に反映するよう要望
3月18日の厚生委員会・福祉保健局分の質疑の報告です。
児童虐待防止条例の制定にあたり、実効力ある親子支援と児相体制強化や、また社会的養育のあり方についてや里親支援体制構築について質疑を行いました。
まず、特別区の児相設置に当たっての広域調整について質疑しました。
もともと児童相談所は広域行政であると言われるのには、保護した児童を児童養護施設や乳児院等に措置する場合に区市町村の枠を超えた調整が必要になるからです。児童養護施設や乳児院は全ての区市町村にあるわけではありません。また、東京都内の児童が都内の施設受け入れでは間に合わず、関東近郊の都外に受け入れられていることも少なくありません。昨年、有志の児童養護施設長たちが調査して取りまとめた措置児童の本来の住所と措置された先の施設を拝見させていただく機会がありましたが、まさにこれまで広域調整として東京都が担ってきた児童の入所施設との調整は、今後区と都でどのように取り行っていくか、共有することができるシステム開発も含めて検討していただきたいという趣旨の質問をしたところ、今年度から児童養護施設等の行政区域を超えた利用方法について、都区間で検討していることや、具体的には各施設の入所状況の共有方法や広域利用をする際の手続き等について検討をしているという答弁がありました。
特に、現在まだ区の児相設置が決まっていない後発区や、今後議論が予想される中核市における調整についても今のうちから想定して議論に組み込んでおくことが必要です。
さらに、現在の児童養護施設の受け入れ数と受け入れを必要としている児童のニーズ数が合っていない、受け入れ数がニーズに足りていないという指摘を施設長たちから頂いておりましたので、これについても質疑しました。
東京都は来年度末までに新しい社会的養育推進計画を策定する予定です。この中で里親や児童養護施設への現状のニーズを把握する必要があることを申し上げたところ、児童相談所等に対し必要な調査を実施し、その結果を踏まえ適切な需要数を計画に反映させていく、という答弁を頂きました。
さらに、今回条例の中に都民の責務として保護者の体罰禁止が明記されていたことに関係して、保育士等の児童の監護に関わるあらゆる職域の者についての体罰禁止や防止策について質疑を行いました。
本件については、昨年12月の衆議院会館での勉強会以来、大阪府子ども虐待防止アドバイザーの辻由起子さんには幾度もお話をお伺いし、大変お世話になりました。他自治体の地方議員にもおつなぎ頂いて様々な連携や情報共有をさせていただきました。また、3月10日にはこの件で目黒区において勉強会が開催され、目黒区の田添区議や品川区の横山区議にご尽力いただき、川崎市の小田市議からはアメリカの児童虐待防止についての各機関連携の話などを伺いました。
今月、都内葛飾区の認可外保育施設における児童に対する暴行や暴言ともとれる不適切な保育があったことで東京都が施設に対して運営の停止を決めたという厳しい指導が行われたことが明らかになりました。
本来、保育士や保育施設長は児童に対する体罰を行うという前提にないというのが現在の民放の解釈です。また、親や里親、児童養護施設長が持つ懲戒権は保育士等にはないため、保育士は体罰を行うわけがない、というのが法的な前提です。けれども、実際にその前提をこえてしまっている例があるということを各所で伺っていることから、相談窓口や対応について、保育士への研修について、また体罰禁止の虐待防止条例について保育士等への周知をどのように行っていくかを質疑しました。
相談窓口は、施設長や法人本部が難しければ自治体で相談に応じる、とのことで、具体的には認可・認証は東京都または区市町村、小規模保育などの地域型は区市町村、認可外は東京都で、入ってきた情報については必要に応じて都と区で共有していくということです。
保育士への研修は事業者や核施設内で行われているが、保育所等に対しては今後条例の周知は待機児童対策協議会や主管課長会、施設むけの講習会や業界団体が主催する研修等で行っていく、という答弁でした。
下の写真は10日の勉強会のものですが、このスライドにあるように「配偶者暴力支援センターと児童相談所の連携強化」も虐待の早期発見や未然防止に向けて重要な点です。これについては公明党のまつば委員から質問がありましたので意見にとどめましたが、今後さらなる連携強化のみならず、「もともと行政には頼らない、連絡をしない、相談をしない」被害者に対するアウトリーチをどう実現するかを特に考えていただきたい旨を発言しました。
長くなってしまったので、里親や新生児委託については分けてブログに書きます。
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