静岡県立病院機構へ。独法化により最先端医療の研究と提供にどんな影響があったか調査を進めています。
本日は東京みらいの3名で、独立行政法人化をしてから11年目を迎えている静岡県立病院機構に意見交換と視察に伺いました。日帰りの弾丸視察です。
静岡県の健康寿命は全国でもトップレベル。男性女性ともに全国で2位です。県民の意識も満足度も高く、医療への関心は県民からも行政の間でも非常に高いという地域性からか、平成16年に地方独立行政法人法が施行された翌年にはもう県立3病院運営形態検討会を設置し、独法化への検討を進めて来られたという素早さです。
先日伺った板橋の東京都健康長寿医療センターと同じく、最先端医療を常に提供し続けるという医療の質にこだわる部分と、常に医師と看護師の人材を確保するためにも設備投資や研究機関の充実は欠かせない、ということから非常に経営努力を進めておられることがお話の随所で感じられました。
「採算の合うものばかりではない、大病院経営」だからこそ、例えば常に単年度決算が求められる以前の病院経営形態では物品購入時に共同購入などを行うことができないということで大変な支出の無駄があり、独法化することで予算執行の迅速化、弾力化が計られたということです。
人材確保については特に、条例や議会に縛られてしまう一方で、毎年診療報酬の改定があり、突如人材を多く確保せねばならないという事態に陥ってもすぐにはそれがかなわなかったのが、独法化をしてからは職員区分や給与条件も独自に設定をすることができ、人材の確保がが容易になったということです。
独法化以前は290名だった医師は、現在432名。
以前1077人だった看護師は、現在1431名。
また、働き方も常勤と非常勤という括りだけではなく、アソシエイトという新たな区分も設けたようです。一度出産などで退職されてもまた戻ってこられる方や、中途採用でこられる方も多いとのこと。
院内保育所では多様な勤務体制を支えるために、夜間保育、泊まりにも対応できる体制を整えているということでした。帰り際に外から見た保育所は東京都内ではなかなか見られないほど大きくて立派で、お庭も広かったです。
館内視察では、研修をおこなうそれ専用のフロアに加え、手術室のあるフロアを見せていただきました。手術の手法や目的により、MRI、CTなどを駆使しながら手術が可能なハイブリッド手術室、また内視鏡手術に特化した手術室やロボット支援手術用の手術室などを見せていただきました。
この先端医学棟は一昨年7月に出来上がり、10月から使われているものですが、従来の手術室の1.5倍の広さが取られていることや、もし今後リニューアルなどの時が来た時に容易に行えるように電源系統は天井部分を通していたり、鉄骨を使っているので柱を部屋の間におかずとも部屋の耐久性が保たれているということもよく考えられていると感心致しました。
最先端の、3D画像をみながら医師が手術をする、こういった訓練を積み実践していける現場というのは向上心あふれる医師や看護師の皆様にとっても魅力的な職場と写るということでした。
また、研究棟の方には静岡大学の教授が研究室を構えていることもあり、常に学ぶことと実践することの両輪が期待できる環境です。
最後に見せていただいたのは、静岡県乳幼児聴覚支援センター、きこえとことばのセンター。
静岡県では生まれてすぐに全ての新生児がスクリーニング検査を受け、聴覚の異常がある場合は1歳までに人工内耳をつけられるように、そしてそうすることで言語の習得へとつながるようにと副院長の高木明先生の監修のもと、支援へとつなげているようです。
耳鼻咽喉科の方に人工内耳についての説明がありました。
早期発見から支援につなげていく、これは東京都でもぜひ実現させていきたい体制の一つであると強く感じました。
全体を通して、非常に透明性のある、経営努力による医療の充実と人材の確保を実践されているなと感じました。
これはひとえに、理事長のリーダーシップと経営に関わる皆様のご努力、マンパワーによるものでしょうけれども、ではどのように東京都でこのような体制を実現していくか、今後とも東京みらいで様々な調査を重ね、意見交換を重ねて行きたいと思います。
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