保育の質の向上とは何か?町田の小規模保育〜自然幼稚園〜送迎ステーションの視察へ
今日は奥澤都議の地元である町田市へ。
町田駅前は地価が高いこともあり保育所不足(認可保育所がないと言うことを伺い驚きました)で、学校法人正和学園が立ち上げた小規模保育所「つながり保育園・まちだ」からスタートをして、正和幼稚園、町田自然幼稚園へと視察に行ってきました。
さすがは子育てに長年地域で関わってきた経験やノウハウを持つ学校法人であり、最初に伺った小規模保育所から最後に訪れた自然幼稚園まで、その「子育て」の理念は一貫しているようにも見受けられました。
小規模保育所はA型、B型が隣接する作りで建てられており、さらにその隣は国認可の企業型保育所として運営されています。なぜこのような形で開設を?と伺っていくと、「一見意味がありそうで、実質あまりない保育に関する様々な規制」と実質の保育の質の確保や向上に向けてのせめぎ合いがあることがわかりました。こちらの学校法人の幼稚園で培って来られた「異年齢での体験活動」や、児童一人ひとりの成長を横軸(隣のお子さんと比べる形)ではなく縦軸(そのお子さん本人が、月日を経てどう成長していったか)で捉えて保護者と共有できるような「日々の日誌の作成」など、とても特徴的でした。保護者の皆さんにとっても、かなり魅力的な保育を実践されているようで、保育所も幼稚園も大変多くの入園希望者がいらっしゃるようでした。
一点、シンプルにかいつまんで説明するならば、保育所の床面積は何歳児については一人当たり何平米以上必要、などと年齢によってそれぞれ必要な面積が定められています。これをもって「保育の質」を確保していることにつながるとされ、もちろん他にも保育士の数等の定めがありますが、建物の床面積は保育所を設立するにあたり大変重要な要件となってくることが常識です。
けれどもこの常識に縛られすぎると、0歳児の床面積、1歳児の床面積、2歳児、とそれぞれに壁を作って普段の時間を過ごすことが当然となります。けれども、実際には特に小規模保育所ではそれぞれの年齢の児童数が多くないこともあり、異年齢での活動が保育の内容をより充実させたり、児童の学びを促進することが多々あることも事実です。
それぞれの年齢児の部屋は一応こことこことここ、と設けられてはいるものの、実際にはどこかの一箇所に集まってみんなで集中して何かの活動を行なっていたり、また土曜保育などでは一つのクラスに1、2名しかお子さんがいない、と言う状況が生まれたりする場合、むしろ異年齢活動に保育士がついて見ている方が児童さんにとっても園にとっても合理的だったりします。
認可保育所では土曜は利用者も少ないので保育士さんの人件費の問題をクリアするためにも「共同保育」が必要、と東京都の待機児童対策協議会でも話題に上っていました。小規模保育所を運営するこちらではこれを新しく「交流保育」として実践を初めておられると言うことで、このように柔軟な保育の実践を可能にしていくことが必要だと改めて感じました。
規制は、それ自体は保育の質を確保するためのものであるはずです。
それが、実態に即して考えて見たときに、必ずしも保育の質を確保することにつながっていない可能性があるものがある場合、やはり一度原点に戻り、「なんのための規制か」を考えてみる必要があるのかもしれません。
こちらの小規模保育所は町田駅からほど近くにあり、ここは町田市から委託されたこども園送迎ステーションでもあります。こちらで大きなバスに乗り、園児さん達はこども園へと送っていただけるので、保護者の皆さんも安心かつ助けられていることと思います。この送迎ステーションは、町田市のみならず各所に広がると、例えば市境などで、特色ある保育をしているにも関わらず駅から遠いために園児の確保に難しさを感じている園などにも児童を預けたいと考える保護者が増えることになるのですが。
その後伺った正和幼稚園、また自然幼稚園ではその保育内容に視察仲間からため息がこぼれるほどでした。
こちらは自然幼稚園の屋上にある自家栽培農園で、子供達は自由に野菜などを育てたり、手をかけずに育たなかったりカラスから作物を守るには?と言うことに苦心したりして、学びを得ていくそうです。大人がやりなさい、と指し示したことをやらせるのではなく、小さなお子さんであろうとも自分で選び、自分で考え、自分で行動したその結果を自ら向き合うように仕向けていくことで、子ども本来の発想力ややる気を引き出しつつ、自己肯定感を育むことにもつながるようです。
保育や教育の質の向上、とは、単純な床面積や人員の配置だけで実現するものではないのだと言うことを強く感じた1日でした。学童のこと、保育士の処遇改善などについても、具体的に様々な宿題を頂くことになりました。
正和学園の関係者の皆様、本日は本当にありがとうございました。
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