児童虐待対策について、警視庁へのヒアリング
都議会にて、警視庁にヒアリングを行いました。
主に内容は児童虐待対策についてです。
東京みらいの都議に加え、都内各区市町村の議員さんも参加してくださいました。
児童虐待の件数は過去5年間で5倍に。
平成26年に868件だったものが、平成30年に4289件にのぼっています。
中でも最も増えているのが両親や親とパートナー間の暴力行為を目にする、いわゆる「面前DV」で、これは平成26年448件が平成30年4803件と10倍以上に。
次に増えているのが実際に身体への暴行などが認められる、身体的虐待で423件が1099件とこちらも倍以上に増えています。
このうち、逮捕や事件検挙までゆくものは5年間でそこまで数が増えているということはないのですが、何しろ110番の通報数が大変多くなっている(世間の児童虐待への関心が高まっていることもあり、各地でアンテナが多くはられている地域が多いというのも事実なようです)ことが、取扱件数の大量増加につながっているようです。
虐待相談ダイヤルで全国共通の「189」よりも、やはり全国民に浸透している「110番」の方がかなり通報が多いようです。
市民にとっては、いざという時の相談先というのはいくつも提示されていてもやはり分かりづらく、まずは交番に、もしくは警察に、という方がやはり主流です。
問題は、そうやって交番や地域の警察署、また警視庁へと入ってきた児童虐待(の恐れのある)事案の情報をどう取扱い、どう他機関と連携していくか、です。
警察や警視庁はいわば「すでに事件が起こってしまった」事案を取り扱うことを主として、被害児童の身体や財産の保護を最優先に動きます。
けれども、今現在はどんな軽微な(場合によっては、ただ泣き声がうるさかった、という虐待ではない事案も含めて)通報もまずは警察や警視庁に市民から直接届けられることが多い、となると、入ってきた情報を的確に優先度別に振り分け、内容に対する対応機関別に振り分けていくことが求められます。ここでやはり必要になってくるのは、適切な情報共有です。
実際に児童の保護や措置が必要な場合、東京都児童相談所に情報を共有する必要があります。また、重大な虐待事案として他道府県で取り扱われてきた事案が都内へと転入してきた場合にはその情報を。逆もまた然り。そして、児童の通う学校等との連絡会議や、児童の家族が暮らす自治体ともやり取りが必要になってきます。必要になってきます。
今、警視庁の中では情報を一元化してそこに随時担当者が児童にまつわる様々なことを入力してゆくシステムを持っており、これは正し警視庁の内部関係者(警察の少年係なども)のみがアクセスすることができるということです。
つまり、警視庁が児童相談所に、
もしくは、警視庁が区市町村自治体に、
警視庁と他道府県警察とのやり取りの中で、
情報の共有を行いたい場合は、「電話」「ファックス」「メール」などの連絡方法が主になってくるというのが現状です。
警察と児童相談所の情報の共有については、昨年9月に新協定が結ばれました。
元々は身体的虐待の事案のみに限定して共有していたものが、新協定の基準ではネグレクトや性的虐待、また心理的虐待についても里親から家庭復帰した事案や一時保護所から家庭復帰したものも含めて、共有されるというように対象が拡大しました。最重要と思われていた事案のみならず、同じく最重要となる可能性のある事案も含めるようになったということでこれは必要なことです。
ただ、いくらこの情報共有範囲を拡大してみても、根幹から児童虐待対策を打っていかないと状況は変わることはありません。
児童虐待の未然防止に必要な、性教育、そして妊産婦支援。生まれてからの切れ目のない子育て支援。家族の支援。住んでいる地域、子供を産んだ地域に、お母さんやお父さんとお子さんがつながっていくための支援の輪、場。
そちらを進めてようやく虐待防止が機能し始めることになります。警察に通報がくる事案は、児童虐待の最終段階、もう発生してしまった事案と言えます。まだそこまで行っていない、いくかもしれないけれども止まっている事案は警察への通報ではなく、まずは地域の支援や東京都の子育て支援につながっていくことが望ましいと考えています。
東京都の支援といえば、ちょうど本日8月1日から「子ゴコロ・親ゴコロ相談@東京」がスタートしました。子育ての悩みや困っていることは、ラインや電話で専門相談員に相談することがでいます。相談対応時間は9時から21時まで、土日祝日も17時までやっています。
児童本人からの相談も受け付けています。
秘密も守ります。ぜひ、何か困っていることがある人は、相談を考えてみてください。
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