多摩ニュータウンで自動運転バスの実証実験が行われます

私の一般質問の内容で、一つ説明が遅くなったものがあります。

「自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクト」についてです。

自動運転技術を地域間の回遊性の向上や高齢者の移動支援、また深刻化するドライバー不足への対応に活かしていこうと、実用化を見据えて東京都は今年度から自動運転事業者や交通事業者等によるビジネスモデルプロジェクトの支援事業を開始しました。

この事業に申し込みが9件、そして選定されたのは多摩地域1件、区部1件でしたが、6月8日に発表された選定プロジェクトがなんと多摩市の多摩ニュータウンにおける、郊外部住宅団地での自動運転バスによる移動手段創出、というプロジェクトでした。

この件が明らかになる前から、市民の方や有識者、また地元担当課の方の思いやお話を伺い、一般質問を作る上で特に「もし多摩で自動運転の実証実験ができるようになることがあるとしても、ただの実験、単発的で短期的なものとして行われては大変もったいない。もし実現するならば、その実験は近い将来、多摩市民や近隣住民のみならず、都内各地の都民からも足を伸ばして自動運転に乗ってみよう、体験してみようと思っていただけるような形でやるべきだ」という視点を東京都にお伝えするベく、担当局とも幾度となくやり取りをさせていただきました。

やり取りをする中で、外部有識者等の選定により、多摩ニュータウンでのプロジェクトが決定したと伺って大変驚くとともに、また新たに急ピッチで地元と都の考えを伺いながら質問を詰めてゆきました。


私の質問は以下です。


「多摩ニュータウンにおける自動運行バスの実証実験について伺います。

2027年リニア中央新幹線の開業を控え、多摩地域の交通物流基盤は革命的な変化に直面しております。加えて、自動運転技術が急速な発展をし、地元からも高齢者のクオリティー・オブ・ライフを向上させる救世主として期待されております。

運転免許を取得する若年層が減少しつつある中、大型二種免許等の保有者の六割、タクシーでは七割が60代以上という現状で、10年後やその先に多摩地域の交通や物流に新たな展望を持つためにも、自動運行バスを力強く推進していただきたいと考えております。

先日、自動運転技術を活用したビジネスモデル構築に関するプロジェクトの実施箇所に、多摩市の多摩ニュータウンが決定したことが発表されました。大変喜ばしいことですが、実験は単発的なものではなく、長期的な事業発展も視野に入れたビジネスプロジェクトの発端でなければならないと考えております。

2019年、2020年と世界的なイベントが行われる東京都で、世界に先駆けて、例えば多摩地域から大会会場への自動運行バスの事業化、また、映画やアニメなどの聖地巡礼、大学と連携したプログラミング教育の実習なども視野に入れた市民参加型の機運醸成が必要と考えております。

多摩ニュータウンにおける自動運転技術の実証実験を通した今後のビジネスモデルの構築について、どのように支援していくのか、都の見解を伺います。」


これに対してて、都の答弁は以下です。

政策企画局長「多摩ニュータウンにおける自動運転バスの実証実験についてでございますが、超高齢社会を迎えている東京にとって、移動困難者の支援は重要な課題でございます。

そこで、今年度より、自動運転技術を活用したビジネスモデルの構築に向けた、民間事業者によるプロジェクトの支援事業を実施致します。その一つとして、多摩ニュータウンにおいて、既存バス路線を補完する自動運転バスの運行実験を行い、起伏が多い地域での住民等の移動を支援いたします。同時に、AIにより乗客の姿勢を検知することで転倒事故を防止するためのサービスなども検証をいたします。

今後、地元自治体と連携しながら、東京自動走行ワンストップセンターの活用などにより、将来につながる実証実験の円滑な実施を強く後押しして参ります。」


最近感じていることですが、答弁は最後の一文に重要な姿勢や要点が述べられていることが多いですね。ありがたく力強い答弁を頂きました。


さらに、今週になって新たにプロジェクトの詳細も明らかになってきました。

22人乗りの自動運転バスを一台用意し、既存のバス路線の通っていない路地を中心に運行する計画で、実施時期は11月だということです。当初、8月ごろには、という話もあったのですが、様々な調整や市民の帰省などもあり地元市は時期尚早ではないかと懸念されておりましたので、準備期間がより多く取れることになり安心いたしました。


車両には人工知能(AI)が搭載されます。専用のカメラで車内の画像を写し、AIが解析しながら運行するため、例えばもし乗客が席を離れ転倒しそうになると「ご注意下さい」「停車するまでは着席ください」などと自動音声で注意をするということです。

そもそもこのプロジェクトでの自動走行のレベルはレベル1〜5とあるうちのレベル3であり、①加速②操舵③制動の操作を全てシステムが実施しますが、運転席にもドライバーは乗車しており、システムからの要請があればドライバーが手動で対応することになります。

現在、全国的にドライバーが同乗しない完全自動走行を表すレベル4、レベル5の公道走行には法律改正が必要となることもあり、未だこちらは実現していません。実証段階にあるものはほとんどがレベル2(①〜③のうち複数の操作をシステムが実施)、レベル3であり、一部では市場化が実現しています。


多摩市の高齢者の移動支援に加え、今後三多摩地域の中でも特に過疎地域のバス路線の運行を支えていくことや、運転者不足で稼働しない車両が増えているというタクシー会社などにとっても、自動運転技術の実証実験はその成功が非常に注目され、期待されているプロジェクトの一つです。


今回の実験は2週間で、実験に参加したいとする住民を募って無料で運行するということですが、ぜひ多くの住民に参加していただき、課題検証や改善点の精査なども行っていかれることを期待しています。

東京都が自動運転の公道実験を実施するのは初めてのことです。ぜひ私も(乗れなくても)見に行かせていただこうと思います!


ちなみに、23区の方は港区・千代田区でトヨタエスティマハイブリッドの車両を使い、特にタクシー車両運行を想定した実験を行うということです。ICT技術を活用し、自動運転タクシーの予約、配車、料金決済等を実施します。お近くの方やご興味のある方は、そちらも合わせてぜひ注視して頂きたいと思います。

斉藤れいな(さいとうれいな)公式サイト

前東京都議会議員 斉藤れいなの公式ホームページです。