荒川区教育委員会にてタブレット教育ヒアリング
文教部会のメンバーを中心として、荒川区の教育委員会に小学校と中学校で行なっているタブレット教育のヒアリングに伺って参りました。
荒川区は区の予算995億円のうち、80億円を教育費に費やしており、区長の教育に対する並々ならぬ想いが伺えます。
タブレットPC導入については平成25年にモデル事業としてスタートし、26年9月からは区内小学校・中学校全校での運用を開始しています。
成果検証を近々ホームページでも公開すると言うことですが、タブレットを使用した授業がわかりやすいと思うか、と言うような質問への生徒の答えは概ね8割以上がわかりやすいと回答している一方で、情報活用能力の向上には大変有効でありつつも、思考力の向上や学力の向上についてはまだ今後も課題検証を行っていく必要があると言うことです。
授業でも、例えば図画工作や体育など、授業中に作業や運動を映像化することによって飛躍的に自己認識を伸ばすことができるものがある一方で、社会科や理科など、あくまでも素地となる知識や学力を伸ばすことが必要な教科も多く、そのような教科でどのようにタブレットを活用していくか、を導入前には様々な研修を通して教科の先生方とICT支援員(外部人材)との間で進めていたと言うことです。
この支援員という存在が非常に重要で、お忙しく日々の生徒の指導にかかりっきりである現場の教員の方達にとって、タブレットを導入した授業を展開するということは時には時間的負荷も増えることが予想されますが、先生が本当にやりたい授業をイメージで伝えた場合も、「それではこのように活用してみたらどうか」と具体的な授業方法を発案・計画してくださることもあるというからとても助かることが多くあったはずです。
ただ、2年間限定で取り入れていた外部人材のため、現在は支援員は入れられておらず、2年間のうちに学校教員それぞれのタブレット教育スキルの向上は完全に果たされたとはいえない状況のため、今年今年9月からは「情報教育アドバイザー」という新たな呼称で、各学校を巡回してその学校の情報教育の核になる先生を育ててもらう今後のための今後のための土台作りをしていく、ということです。
タブレット導入には非常に予算もかかることから、それぞれの区市町村では様々な意見が議会などでも出ているのが実情です。
しっかりとした成果が出ていなければ、なかなか公金を投入していくことは普通に考えて難しいというのは当然のことで、だからこそ荒川区のように先進的に取り組まれ、成果や課題が明らかになってきているものはどんどん他の自治体も参照していただいて、活用していただきたいと感じました。
導入自治体の会議体がある、ということでしたが、東京都からは荒川区のみで他は遠方の地方市が多いようです。
荒川区教育長からは、人材育成や支援員の配置についてご要望をいただいたとともに、せっかく公立小中でICT教育を進めても、都立高の取り組みが遅れているというご指摘をいただきました。また、特別支援教育に非常に有効であることを東京都として知見を共有していっていただきたい、との要望も。この辺りは持ち帰り、文教委員として都教委に求めて参りたいと思います。
荒川区議長を始め、荒川区教育委員会の皆様、本当にありがとうございました。
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