財源の裏付けある政策提言を行うことこそ、責任ある政党の務め
一昨日は本会議最終日でした。
各委員会に付託された重要議案や条例案についての各会派からの討論が行われましたが、特に教育関連についての都議会公明党の討論内容は特に素晴らしいものでした。
今定例会で、文教委員会には議員提案条例、東京都公立学校施設における冷房機器の整備促進に関する条例が付託されておりました。
委員会において、私たち都民ファーストの会も意見表明を行うべきか、会派内でも相談はしたのですが、結局明確な発言はしないまま、条例案には反対となりました。
個人的には、条例や請願には反対の立場を取る場合でも、その理由を明確に伝えるためには意見表明を行うことが効果的だと感じます。ですが、時間に限りがあることもあり、他の重要な条例が目白押しだった今定例会において、都民ファーストの会 東京都議団の討論で、この条例案に対する考え方については触れられていなかったのが残念でした。
都議会公明党のこの条例案に対する反対討論は流石の一言でした。
論理的、かつ、明快です。
そもそも、今定例会で都議会公明党は公立小中学校の体育館に空調設備を設置していくことについて、東京都に設置主体である区市町村を早急に支援するべきだと論陣を張り、来年夏までの実施を目指して急遽補正予算を組む提案までして、これについては知事からの答弁で補正予算について前向きな討論を引き出していたのです。
例えば、ここから冷房設置に関する条例を制定するとなると、ここから空調設備の設置実現までに条例内容の審議の時間や予算要求の時間を要することとなり、迅速な空調設備設置には逆行することとなってしまいます。おそらくそうなると、来年夏にはとても間に合いません。
また、条例として定めることによって、公立学校の設置主体である区市町村には空調設備の設置が義務付けられることとなりますが、それに伴い生じる区市町村負担の膨大な財源負担について、この条例の提案者は各区市町村に連絡調整・討議などを行ってきていない、という状況です。実際に条例化を行おうとした場合に、非常に反発や混乱を招く恐れが高いと思われます。
さらに、この条例でうたわれている冷房の設置ですが、重要なのは夏場の冷房だけに限りません。冬場の暖房の有無も、昨今の厳しい気候の変化の中では重要な課題です。冷房設置のみに義務づけを行うかのような条例には不備があり、その不備を知っておきながら提案するということは単なる政治的パフォーマンスと取られても仕方がない、という討論には思わず拍手を送りました。
聞こえの良いことを発信するばかりが、政治家の務めではありません。
例えば給食無償化についても同じことが言えます。
日本の公教育にかかる財政全体の中での支出割合(公財政教育支出)はOECD加盟国の中でも最低の3.8%です。究極的には、この割合を格段に大きくしていくことが必要です。ですが現状は、教育への投資は国の未来を左右する重要な政策上の選択の1つであることは確実な一方で、東京都や自治体、国の予算には限りがあるため、より優先順位や緊急性の高い政策分野に財源の配分が行われていくことが求められます。教育にかけるお金の総額が今年来年に驚異的に飛躍するならば話は別ですが、その可能性がない状況で、財源の議論もなしに教育無償化を叫ぶことは大変無責任であると言えます。教員の働き方改革に寄与する外部人材の活用や英語専科教員加配、ICT整備促進補助やプログラミング教育推進、いじめの撲滅、また就学前教育スタートなど、文科省から示されて解決してゆくべき数多くの喫緊の課題を抱える教育現場には毎年多くの事業項目で予算要望が為されてきており、これら教育の充実や向上に資する事業への補助を為さずして給食無償化を実現することはバラマキ政策とも取られかねない行為です。文教委員会でも、低所得者への就学支援補助は給食無償化等の政策とは別個に分けて議論が為されてきた経緯があります。都が預かっているのは、都民からお支払いいただいている血税なのです。福祉の視点から鑑みても、教育無償化を為すよりもまず学校等での朝食クラブを実施する方がよほど効果的であると考えます。6人に1人が朝食を食べずに登校して集中力を切らせた状況で授業に臨んでいる現在、子供達の学習効果にも好影響の大きい朝食を学校の場所で提供することができれば学力向上にも良い成果を上げることができると昨今有識者からの提案が多数届いています。
最後になりますが、私は、政党間の争いごとのために都議会議員とさせて頂いたわけではありません。
あくまでも、都民のために、開かれた都政をつくる一端となりたい、そして都民のために少しでも貢献できる都政を作りたい、その一心でここに参りました。そう言った意味で、もちろん他党の方とも政策談義を交わしながら、しっかりと都民全体の利益を考えて行動して行きたいと思います。
今は都民ファーストの会の1都議として、党の公式見解や変容の推移・経緯などを、しっかりとその都度確認をして自分の考えとともに発信して行きたいと思います。万が一選挙応援等でこれまでの政策や公約に変容がある場合は、あらゆる手段で有権者の皆様にお伝えしていくことが責務であるとも感じています。現時点でそれがあるのかどうか、現在確認中でもあります。
聞こえの良い政策を伝えるだけでは、責任政党とは言えません。
東京都は一国の予算ほどの税収があるとはいえ、教育現場は相変わらず人員の加配もおいそれと認めるわけにはいかない現状が続いています。
適切な再配分を行うためにも、いっときの人気取りで政策を違えるようなことがないようにと、しっかりと訴えかけを続けて行きたいと思います。
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