放課後等デイサービスの報酬改定の課題を、都は認識しているのかどうか

決算委員会が始まっています。


今週は説明で、来週から順次、各分科会で質疑が始まります。

私は今回第二分科会に所属し、病院経営本部、生活文化局、教育庁、オリパラ準備局、福祉保健局を担当します。

特に、常任委員会は文教所属のため、福祉保健局関連を質疑させていただけるのはとても貴重な機会です。今回、放課後等デイサービス事業の報酬改定の課題について、都の見解を伺いたいと思っています。


ここ数年、放課後等デイサービスは利潤追求主義の施設において児童がテレビを見せられたまま放置されているなどの問題点が見つかったこともあり、厚労省が2015年4月には放課後等デイサービスガイドラインを策定し、2017年4月には開所基準も見直しました。さらに今年4月に診療報酬改定が行われ、それが全国の放課後デイサービスの8割を減収に、2割を廃止の危機に追い込んでいると言われています。


問題点は大きく分けると2つ。

1つは、施設の質を担保するために重度の障害児を多く受け入れる場合は報酬を手厚くしようと、重度の子供の数で区分1と区分2に分けたことに伴い生じている混乱です。

自治体は利用申請があった子供の障害の程度について、項目別に保護者に聞き取りを行い、点数をつけるということですが、自治体によっては保護者に聞き取りがなく、実際にはできないことが「できる」とされていたこともあり、実態と判定が乖離しているとの指摘が届いています。

これについては厚労省が自治体の報酬改定への対応が追いついていないという課題を認め、全国自治体に判定方法などを確認する実態調査を行い、今後の対応については具体的助言を行なっていき、必要がある場合は再判定も促していくことになっています。こちらは今回会派の予算要望にも入れていることもあり、今後も引き続き都の対応を求めていきます。


2つ目の問題は、厚労省告示を東京都が独自に解釈している点がある部分です。

報酬改定のポイントは、専門家をより高ポイントの報酬対象とし、職員の専門性を高めるという点にあるということは理解できます。

一方で、「児童指導員」の要件に東京都と愛知・福岡・広島などの地方自治体で解釈の違いがあることが明らかになっています。

他の自治体では「児童指導員」は「基礎研修を修了した指導員」とされており、この要件は昨年度までと変更されていません。

これが東京都では、今年4月から「児童指導員」は「基礎研修を修了した障害経験指導員」とされているため、従来「児童指導員等」のカテゴリーに入っていた「基礎研修を修了した指導員」の単位数は、加配加算が195単位から「その他の従業員」と同じ91単位とされることとなります。なぜ東京都だけ要件解釈が他の自治体と異なるのか、その根拠を確認しなければなりません。


様々な放課後デイサービス施設を運営しておられる方のお話をきき、この問題が一日を争う喫緊の課題であることがわかります。

すでに、財政逼迫により人員削減を行わざるを得ない事業所は、この夏休みの児童の体験学習などを自粛するという事例もあり、子供たちの健康増進や学びにも影響が出ていると考えられます。


現場から聞こえてくる声は切実です。

早朝から深夜まで、記録や事務、支援に追われて働きづめでも報酬は下がるばかり。

保護者の支援や兄弟支援もほぼボランティアで報酬なしで行うことが多く、それに時間が取られて自分の時間が取れないことも。

学校現場と似ている事情ですが、「何でもかんでも放課後デイに」と任される風潮もあるということで、大変な一日一日を過ごしておられる施設関係者、指導員、職員の方達の声にならない悲鳴が聞こえてくるようです。

これ以上、障害のある子供たちの大切な居場所である放課後デイサービスが潰れてしまうような事態を避けるために、全力で動いてゆきたいと思います。


この件は同じ分科会の龍円都議と共に、各調整を進めてゆきたいと思います。龍円都議はダウン症のお子さんを持つ働くお母さんでもあり、この問題には非常に看過できない想いを持っています。


また、決算委員会の福祉保健局関連では他に、不妊治療助成事業、待機児童対策、児童養護施設補助、動物愛護事業などについて伺ってゆきたいと思っています。


ぜひ、当事者、関係者、利用者やあらゆる都民の皆様からのご意見ご要望がありましたら、お寄せいただきたいと思います。