学校に自分を合わせるのではなく、自分らしさを守り学んでゆく。葛飾シューレ中学に視察に伺いました

少し前のことになります。今週は決算委員会もあり、全く隙間のない毎日でブログ更新が滞っており申し訳ありません。

月曜の朝から、フリースクールの先駆け的存在であり、学校法人を設立して東京シューレ葛飾中学校開校を実現した東京シューレ学園の奥地学園長にお話を伺いに、シューレ葛飾中学校に伺いました。

不登校支援や子供たちのための学びの多様化を常に追い求める、奥澤都議と共に。

不登校、というと、どんなイメージがあるでしょうか?


おとなしくて、閉じこもっている子?

いじめに会って、傷ついている子?

うまく人とコミュニケーションが取れない子?

集団生活に馴染む事のできない、どこか変わったところのある子?

そのどれかのイメージを抱いている人が多いかもしれないけれど、と奥地学園長も木村校長も優しく笑って生徒さんたちのいる校内を案内してくださいました。


シューレ中学に来ている生徒さんたちは、それぞれ様々な理由でこの中学に通うことを選択し、通学、もしくはホームスクールという自宅学習中心のクラスに所属して学びを進めています。中には、それまでにいた学校でいじめや不登校、ひきこもりなどの体験を経ている生徒さんたちもいるということです。


生徒さんたちの姿を見て、大変印象的で驚いたことは、とても明るく楽しそうにやりとりをしていたことです。

私自身の中にも、固定観念や偏見があったのかもしれない、と反省しました。

学校内には様々な工夫が凝らされています。

一度、公立学校や他の私立学校等で、「居場所を失う」という体験をしたことがあるかもしれない生徒に対する数々の配慮があります。配慮があります。


例えば、あちこちに生徒のための居場所があります。

サイコロ状の大きなオブジェがゴロゴロと転がっている、でこぼこルームや、全国からの寄付で何千冊の蔵書を揃えるに至った図書室、またアトリエや音楽室、技術室に個人学習室。



生徒さんにとって、一番居心地のいい場所を見つけられるように、なるべく居心地よく過ごせるように配慮されていることがわかります。


特に、家にいても学習ができるサポートとして、文科省が認めている「ITを活用した在宅学習を出席扱いにする制度」を導入しているホームスクール部門の部屋は、みんなの机に個人机、ソファコーナーやいたるところに間仕切りもあって、それぞれが過ごしやすいスタイルで登校することができるような状況が作られていました。


廊下を行き交う生徒さんに、校長先生は笑いかけて、生徒も気軽に挨拶していました。

私は私自身の学生時代を思い返してみました。校長先生に、あんな風に自分は挨拶をできていただろうかと考えると、できていなかったのではないかと思ってしまいます。


奥地学園長はフリースクールをスタートし、しっかりと学校施設を設けて生徒の登校も実現して行ってあげたいとシューレ中学をたてられました。また、北区や世田谷区では適応指導教室の委託を受けており、「何よりも重要なのは親の会を開くことだ」ともおっしゃいました。


様々な悩みを持って不登校などの状態に入るお子さんにとって、社会とつながる唯一の窓は家族です。ですが、その家族がもしも、不登校などへの理解が足りない場合、親は自分自身や子供を否定し、否定された子供はますます閉じこもらざるを得なくなる、ということがあります。


こう言ったスパイラルに陥らないためにも、親御さんへの情報提供や相談対応が何よりもまず重要であるということで、シューレでは親の会を開催し続けています。子供の不登校と保護者の引きこもりが直結している例もあるということで、シューレがこだわって来た親の会はもう開始して開始して36年になるそうです。


シューレ中学の取り組みで面白いと思ったことの1つは、保護者や生徒、教員で形成する学校運営委員会の存在でした。生徒さんたちは我先にと、この委員会に所属の希望を出すそうです。

子供達に一緒に考え、一緒に作って動いてもらう機会を多々設けているシューレ中学からは、卒業生に京大の院生や芸術系の学校へ進む生徒さんも多数出ているというからさすがです。


休むことも、必要だから。そうおっしゃる奥地学園長から感じる安心感は、きっとこの中学に通う全ての生徒さんにもしっかりと伝わっているのだろうと思います。


都内の私立学校は、高校こそ昨年度から実質無償化を目指した保護者負担軽減補助がありますが、中学校では例えば公立学校でいじめに会い転校して来た場合でも、公立より高い入学金や授業料を払わねばなりません。

また、公立中学では今年から、三年生の進路実現のための学習支援事業、スタディアシストがスタートしましたが、例えばフリースクールに通っている生徒には学習支援はありません。

公立学校ではない、ということから、いくつかこぼれてしまっている支援があるということに気づかされました。


学校があり、生徒がいる。

けれども、その学校の形に、自分をうまく合わせることができない生徒さんがいることも事実です。

学校に自分を合わせるのではなく、自分らしく、学びを深めていける居場所を作っていけるお手伝いができないものか、ぜひ都議会にも持ち帰り議論してゆきたいと思いました。


快く、視察を受け入れてくださった奥地学園長、木村校長、本当にありがとうございました。