全国自治体初、狛江市の主権者教育から学ぶ

自分の出身校である桐朋議員ネットワークのつながりで、今週、狛江市の山田市議からご紹介いただき、狛江市が全国の自治体でも始めて策定した主権者教育基本計画について、奥澤都議とともに行政視察を行いました。


狛江市議会議長、また狛江市教育委員会教育部長、福祉保健部長、選挙管理委員会事務局長、議会事務局次長が迎えてくださいました。誠にありがとうございました。


この計画は小さなお子さんや中高生に向けて、また知的障害や精神障害等のある方が投票行動をより身近に感じてもらえるようにと長年のモデル的な取り組みを経て策定されたものです。


特に知的・精神の障害のある方の投票については、当事者やご家族、教員も「そんなことができるのだろうか、可能なのだろうか」とこれまで尻込みされている方もいる中で、狛江市は 模擬投票などの取り組みを積み重ね、その上で「もっと〜〜な情報発信が必要」「安心して投票所に入ってもらえるように、親御さんと手を繋いで親御さんが後ろを向いた状態で投票行動が行ってもらえるようにしよう」「本人確認では、一度目の声かけで返事がなくとも、言い方を変える、氏ではなく名を呼んでみるなどの工夫を職員がしてみよう」など、現場で課題を見てきたからこそ培ってきたノウハウがあることがわかります。


この模擬投票一つとってみても、例えば都立特別支援学校で行うにしても、学校教員が何をしたらいいかわからない、やり方がわからないということがあるそうで、この日の午後に狛江市職員がとある特別支援学校に行ってやり方をお伝えしてくる、と教えてくださいました。

すべての特別支援学校で、ぜひ取り組んでいただきたいことだと思います。


教育部長の想いは、障害のある方が「意思を持っている」という事実があるのに、「意思を伝える」術を持つことが難しいという場合、その壁はできるだけ取り払わなければならないというところにあるということが伝わってきました。

意思を伝えるにあたって、こちらから聞き方を変えれば、伝えやすくなることもあります。また、意思を伝えてもらうにあたって、いくつかの受け取り方を用意しておけば、より伝えやすくなることが予想されます。

大事なのは、「意思を伝える」ということにあたって、そのやり方に苦手感を持ってもらわないようにすることです。知的・精神などの障害のある方が、どんなことを壁やハードルと感じるのか、どういう状況だと難しいと感じてしまうのか、狛江市の職員さんたちが当事者やご家族、また特別支援学校の教員とも重ねてきた検証はぜひ多くの自治体関係者に聞いてみてもらいたいと思います。


また、投票先となる立候補者たちの広報についても、よりわかりやすい選挙公報を見てもらうべきだ、と狛江市が手を繋ぐ親の会と独自に作っている候補者広報冊子も大変参考になりました。


相手の知りたいことや、相手のニーズに合わせて政策や活動を伝えていく努力を候補者たちがしていく必要性も強く感じました。


狛江市の主権者教育は、つまりはコミュニケーション方法の改革の一つの形でもあると思えました。すべての人に等しく同じ情報をお渡しする、ことに加えて、その対象が必要としている情報を特に厳選して渡していく、これはAIを活用した情報の最適化(society5.0)にも通じる新たな社会コミュニケーションの形です。まだまだAIに全てを担っていただくわけにもいかず、やはり人力で一歩一歩、行っていかねばならぬ部分も大きいと感じる次第です。

本当に貴重な視察の機会を設けていただきまして、狛江市関係者の皆様、本当にありがとうございました。