予算質疑テーマ②ICT教育推進にあたり地域格差、公立と私立の格差が?

公教育の質の向上は私が就任以来最も文教委員としても力を入れて取り組んできたことの一つです。


今回の質疑に先立ち会派で行なったインターネット世論調査で、東京都に力を入れて欲しい子育て支援施策は?という質問に対して教育分野では「(塾に行かなくてもいいような)公教育の充実」がトップでした。

私もかねてから、文教委員会でも塾に通うお子さんが増えていることや、教育費が家計を圧迫していることなどについて言及し、スタディアシスト事業や放課後子ども教室のさらなる推進を求めてまいりました。また、塾代助成についても、以前は議会でもなかなか賛同してくれる方が現れなかったのですが、会派で1月に大阪市の塾代助成事業についてヒアリングを行い、学習塾のみならず文化やスポーツを習う習い事についても対象とされていることや、世帯収入の上限などを定めていない旨もお伺いし、奥澤も話を聞いてきております渋谷区のスタディークーポンのような例もあるため、是非とも議会・都庁一丸となって今後の学習支援のあり方を考えていきたいと思う次第です。


一方で、塾代助成がいわゆる二輪自転車の補助輪部分だとすれば、二輪自転車の車輪部分である公教育の責任と役割はやはり非常に大きいです。今なぜ保護者が子供を塾などに通わせるのか、その背景やニーズに蓋をして公教育の充実をはかっていくことは難しいのではないかと感じています。



予算特別委員会では、様々なランキングを紹介しました。


国際数学・理科教育動向調査では小学校算数、中学校数学がともに、シンガポール、香港、韓国、台湾に次ぐ5位。

PISA調査による読解力では、シンガポール、香港、韓国などに次ぐ8位。

2017年のTOEFLスコアでは163か国中135位、アジア30か国中27位との結果です。

また世界の大学ランキングでは日本一位の東京大学が42位となっています。


ユニコーン企業を増やしていこう、GAFAなどと闘える起業家を生む教育基盤を整えよう、と掲げるにしては少し心もとない数字ではあります。


そこでまず、東京都の教育の目指す方向性について、世界の都市間競争に打ち勝つ人材を育成するという観点から、知事の考えをお伺いしました。

答弁をまとめると、

●教育は十年、百年先を見据えた未来への投資。

●一人一人の子供が将来の希望を抱き、生きる基盤となる力を身につけられるよう、給付型奨学金の創設や、基礎学力の定着の徹底により、学びのセーフティネットを構築してきた。

●世界で活躍できる国際感覚と生きた英語を学ぶ環境の充実や、創造的・論理的な思考力を育成する教育などを推進してきた。

●今後も、東京の子供たちが夢や希望をもって力強く歩んでいけるよう、教育委員会と力を合わせ、質の高い教育を、実現していく。

という内容でした。


今後はさらに目標の指標を定めていただくことや、英語教育においては英語を学ぶ、ではなく英語を使って教科を学ぶ、いわゆるCLIL教育をTGGと公立小中学校の公立小中学校の連携を持って実践していただくことなどを要望しました。


そして、例えば広島県福山市で異年齢で学ぶ「イエナプラン教育校」が創設に向けて準備が始められていることや愛知県名古屋市で画一的な教育からの脱却の勉強会が開かれていることもあり、東京都での検討状況について質疑前に幾度もやりとりを重ねました。


東京都ではまだ異年齢で学ぶことを前提とした取り組みはありませんが、同じ学年の中でもそれぞれの進度や能力に合わせた学習を進めるための取り組みとして、習熟度別学習やICTの活用を進めています。これについても取り上げ、今後はICT活用の成果を検証し、区市町村によって環境整備の格差があることもお伝えし、検証結果をもって区市町村支援を行なっていただきたいという旨を要望しました。


例えば渋谷区では1人1台タブレット配布を行っていますが、多摩市では学校におけるwifiなどの ICT環境の整備費用のみならず、維持管理費が大変大きな負担となっているという話を伺っています。東京都の公立小学校に子供を通わせる親にとって、住んでいる区市町村によって、子供の教育環境に差があるというのが現実であり、それを単なる「地域性」として終わらせずに、真に教育的効果がある施策ならば都として区市町村を支援することを考えていくべきではないかと考えます。

それには、まずはICTを活用した教育が具体的に子供達にどのような教育効果をもたらすのか、しっかりと検証した結果を今後の都内全ての区市町村への展開へと活かしてゆくべきです。

私立学校では昨年から、ICT環境整備にかかる補助は新たに1校あたり1500万円という新規予算が生活文化局予算でついています。公私間格差についても、当然都として考えてゆくべき課題の一つです。


来年度は、公立小中学校におけるICT利活用モデル検証事業を行う予定とのことで、その内容と狙いについて、見解を伺ったところ、


●区市町村において、ICT教育の環境整備にあたり、財源の確保のほか、ICTに関する知識を有する人材の不足や教育効果の検証が不十分であることが課題として挙げられる。

●都教育委員会は、平成31年度から、先進的な取組を実施している区市町村などと連携し、「ICT利活用モデル検証事業」を実施する。

●本事業は、一人一台の学習者用コンピュータの活用方法やその効果などを多面的に検証するものである。

●検証により得られた成果を取りまとめ、区市町村が環境整備の推進に必要な情報提供などを行い、取組を支援していく。


という答弁を頂きました。例えば先進的な渋谷区や荒川区の例を検証していただいて、効果について確認した場合はどうそれを多摩地域の市町村にも広げていくか、是非東京都にはしっかりと考えて行っていただきたいと思います。


教育は他にも質問したことがあり、まだブログ報告を続けさせていただきます。