3.11後を語る会。浪江町のいまと、多摩市も含め全ての人のこれからを考える時間
昨日はせいせき桜まつりのプレ企画でもある、3.11後を語る会に参加させて頂きました。
浪江町の佐藤副町長、阿部多摩市長、浪江町商工会前会長の原田さん、浪江焼麺太国の鈴木さんから、かつての浪江町と震災後に起きたこと、そしていまの浪江町とこれからの時代を生きる全ての人が考えるべきことについて、様々なお話を伺いました。
ファシリテーターは、桜ヶ丘商店会連合会の平会長。最後のご挨拶は同じく連合会の三橋さんからでした。
そもそも、なぜ福島には原子力発電所があったのか。浪江町には原子力発電所の建設計画があったのか。多摩市長からの話には熱がこもっていました。
田中角栄さんが首相であった1974年に話は遡ります。
地方創生を進めよう、過疎化が進む地方にももっと活力を持ってこよう、ということで電源三法が制定されました。
電源三法は、1974(昭和49)年に制定された「電源開発促進税法」「電源開発促進対策特別会計法」「発電用施設周辺地域整備法」を総称するもので、これは立地地域に発電所の利益が十分還元されるようにする制度です。 これによって、発電所立地にともない、立地地域に振興効果がもたらされるというものです。
浪江町の人口や子供の数も、ちょうど副町長が様々な数字を持ってきて説明してくださいましたが、浪江中学校の生徒さんの数も発電所の設置に伴い増減をしてきたことが数字からも読み取れるようです。
いま現在、福島第一原発は廃炉に向けて動いているものの、実際にはまだ具体的には進んでおらず、完全廃炉実現まであと何年、何十年かかるかはわからないということです。
2年前に、常磐道の東側だけ避難指示が解除になりましたが、いま現在で浪江町に帰還しているのはわずか5%の住民のみで、高齢者の方が中心です。
前商工会長の原田さんの、浪江に新たな産業を生み出そうとする数々の挑戦や検討中のアイデアのお話がとても印象的でした。
浪江町はこれまでと同じ浪江町でいることは決してできないというのが皆さんの共通認識のようで、では今後はどう発展させていけるか、ということをこうして日本各地の有志とともに考えておられる中で、今後は何か新しいものを産業にしなくてはいけない、という想いが伝わってきました。
いま、浪江町から出ていつか帰還できるときを目指し、浪江町の外で繋がり続ける「町外コミュニティ」というのがあるのだというお話もありました。
浪江町にいつかまとまって帰ろうと、その日のために持ち帰れる産業を模索している元町民の方達がいるということは、いますでに帰還している町民の方達にとっても大きな希望になっているのではないかなと思いました。
良いニュースは、昨年こども園が開園したんですよということと、今年7月にはイオンがオープンする予定ですよということを副町長が話してくださいました。
ただ、いま現在避難指示が解除されたのは全体面積のうち約2割程度。これは除染が済んだ地区ということですが、残り8割は山林部でもあり除染の方法も決まっていない。五年後に新たに解除を目指すものの、それも全体の4%。来年からは固定資産税の課税も再開するということで、非常に厳しい現実があることは間違いありません。
私たちにできること、として、最後の質疑応答で指名された多摩市の岩永議長は「忘れないこと、拡げること。例えば来年のこのイベントには、いま参加している人があともう1人、誰かを連れてくること。」と話していました。
子供や家族に伝えること、一人一人ができることを考えていくことは何より大切です。
私は皆さんの話を聞きながら、東京都で進めている数々の環境エネルギー関連事業について考えておりました。
予算特別委員会でも質疑した太陽光パネル設置初期費用補助事業もそうですが、一人一人がエネルギー消費や生産について考え、理解を深めていくことは大きな意味があります。そして、例えば流域下水道の汚泥処理を行う水再生センターで、現在東京都では全国でも唯一の自家発電により焼却を行う第三世代型焼却炉を活用している例がありますが、これについても「コストがかかる、そんなに税金を使っていいのか」という意見が出ることもあります。何でもかんでもコストで並べて考えてしまうと、「安くて大量生産・消費ができる」これまでの電力消費や生産の枠から抜け出すことはできません。経済的な理由だけで政策判断をしていった場合、そこには将来世代への負債となるような施設・設備を残さないという視点が入ることはないはずです。負債、とはお金だけの話ではありません。リスクを回避することも想定して、費用が大きくとも長期的な効果も鑑みて政治家は政治的判断をしてゆくべきと考えます。
小さなことから一つずつ、進めていくしかありませんが、浪江町と多摩市のつながりから、自分自身も大変学ばされることが多くありました。
語る会開催にあたり尽力された桜ヶ丘商店会連合会、また第38回せいせき桜まつり実行委員会、多摩市・多摩市教育委員会・多摩市社会福祉協議会の皆様、本当にありがとうございました。
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