妊娠SOS、改ピッコラーレさんにヒアリング。妊産婦支援
先月ごろから書けていなかった活動報告を少しずつ書いていこうと思います。
先月特定非営利活動法人ピッコラーレさんに都議会にお越しいただき、妊娠にまつわる悩み事や妊産婦さんの抱える様々な課題や事情について、お話を頂きました。
児童相談所、警視庁、子ども家庭支援センターに届く児童虐待相談は後を立ちません。
児童虐待相談対応件数は年々右肩上がりで、法改正と同時に専門職の育成や人材の確保が各機関にとって急務となっています。一人の児童福祉司さんが抱える相談対応が平均して40件ほど、と多摩地域の機関で伺ったこともありました。
その、児童虐待における虐待死でいうと、このうち全体の65%が0歳児の死亡です。
また、児童虐待死で一番多いのは生まれたその日に亡くなる命で、この0歳児の死亡事例のうち全ての事例において、母親に対して母子健康手帳の未交付と妊婦健診の未受診が確認されていました。
これについては、昨年の私の都議会で初めての一般質問でも取り上げ、ぜひ未受診妊婦を減らせるように特定妊婦支援を進めてほしいということを訴えました。
現状課題の認識、という段階で答弁を頂きました。
今年3月に、国の厚生労働省でまさにこの特定妊婦支援を進めるという目標を掲げ、女性支援センターの機能拡充に予算がつけられました。全国自治体のうち希望する10自治体に対し、特定妊婦の産科受診費を助成するというものです。
内閣府のうたう「切れ目のない支援」は母子手帳を交付されたその時からの支援スタートです。
母子手帳を手にしていない妊婦がいるとしたら、その妊婦に支援はいただけないのでしょうか?この問いに、厚労省が応えたということはとても大きな意味を持っています。事情があり、理由があり、家庭の状況などにより、妊娠しても産科を受診することができていない女性たちが一定数いるのだ、ということがようやく公の事実になって来たのだとも言えます。
経済的な事情、または精神的なこと、または家族の関係性などによって、妊娠を誰にも相談できないまま子どもを産む女性たちに、なんとかここに支援があるのだ、という場を作り、そこにつなげたい。この件についてはどこよりもまず東京都に訴えてゆきたいと思います。
東京都はその大都市としての性格上、様々な困難を抱えた人たちがやって来ます。
仕事がある、ということで、住居や住民票がなくても、支えてくれる家族がいなくても、東京都にやってくる人はそもそも大変多いです。また、パートナーのDVから逃げてやってくる人や、家族が医者を受診させてくれずに困っている10代の学生さんなども。性犯罪の被害者もいます。けれど、そういった当事者が行政の相談窓口に繋がりにくいという特性があります。なんだか相談しても断られそう、家族に相談しろと言われそう、住民票が都内にないと相談できなそう。実際に、当てはまる部分もあり、東京都への相談のハードルは高いです。
そんな事情もあり、現在東京都で、妊娠葛藤相談をしたいお悩み事を持つ人の声は、東京都の相談窓口だけではなくピッコラーレさんなどの民間の窓口にも数多く届いています。
東京都の相談窓口のハードルをまず下げること。出産希望者のみならず、様々な事情から葛藤相談をしたい人にもリーチしてもらえる窓口にすること。
それを実現して初めて正確なニーズ(妊娠葛藤をもっている妊婦さんの数)が判明します。
ニーズがわかって初めて、産科受診助成のニーズや予算も議論の俎上に上がります。
相談ができないまま週数を経た妊婦さんは、自宅などで危険な状況の中出産をする例も稀ではありません。そうして産まれた赤ちゃんが、命をつなぐことができた場合でも、障害を背負って生きていくことになるという例もあります。
妊娠し、出産をするかどうかの選択はその母と父に委ねられています。ピッコラーレさんも、数々の相談に「こうするべき」と誘導するようなことは一切なく、必要な情報を提供した上での本人の選択を尊重します。ただ、必要な情報に加えて、大切なのは本人が適切な医療(検診)を受けるということです。本人の選択を尊重し、その選択に寄り添うことのできる機能を、願わくば行政の福祉には持っていただきたいと考えます。
赤ちゃんを匿名で預け入れる熊本の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」には、東京都から訪れた母子により赤ちゃんが預けられることが大変多いと伺います。熊本まで、東京都から。東京都では母親が匿名で赤ちゃんを産むことができる病院はありませんし、そうして産んだお子さんを匿名で委ねることのできる機関はありません。この「匿名で」という部分が、様々な事情を抱えた母親から産まれる赤ちゃんの生命を守ることにつながっています。ドイツの内密出産法を検証しつつ、このこうのとりのゆりかごを始めた熊本の民間病院では現在内密出産制度を取り入れることも議論。検討されているようです。
あらゆる妊娠葛藤の相談対応やリスクの高い特定妊婦支援は、東京都で取り組まなければならない問題です。引き続き各機関の調査や意見交換を進めてゆきます。
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